コラム
残業が増えると給料は増えますが、手取りは思ったほど増えない。 そんな経験ないでしょうか 実は、残業によって税金と社会保険料が増加し、手取りへの影響が大きくなる可能性があるのです。
特に4月~6月の残業は、翌年の社会保険料に大きく影響します。
今回は、残業と税金・社会保険料の関係を分かりやすく解説し、残業による増加額の試算方法をご紹介します。
残業代と税金・社会保険料の関係を理解し、賢くお金を管理しましょう。
残業代の計算方法は、法定労働時間内か外か、時間外か深夜か休日かによって異なります。
法定労働時間内は通常の賃金、法定外労働は割増賃金が適用されます。
深夜労働や休日労働には、さらに割増率が加算されます。
例えば、時給2000円の従業員が、時間外労働10時間、深夜労働3時間、休日労働7時間した場合、時間外労働分は2000円×10時間×1.25=25000円、深夜労働分は2000円×3時間×1.5=9000円、休日労働分は2000円×7時間×1.35=18900円となり、合計で52900円の残業代となります。
固定残業代制の場合、超過分についてのみ上記計算が適用されます。
残業代は、給与所得として所得税の計算対象になります。
所得税は累進課税なので、所得が高くなるほど税率も高くなります。
例えば、月給30万円の従業員が3万円の残業代を得た場合、所得税は残業がない場合と比べて増加します。
正確な増加額は、給与所得の源泉徴収税額表を用いて計算する必要があります。
年末調整で精算されます。
住民税は、前年の所得を基に計算され、翌年から徴収されます。
残業が多かった年の影響は、翌年に現れます。
所得税と同様に、正確な増加額は、前年の所得金額から計算する必要があります。
社会保険料は、標準報酬月額に基づいて計算されます。
標準報酬月額は、4月~6月の3カ月間の給与の平均額から算出されます。
この際、残業代も含まれます。
そのため、4月~6月に残業が多かった場合、標準報酬月額が高くなり、社会保険料も増加します。
標準報酬月額は、翌年の9月から翌々年の8月まで適用されます。
社会保険料には、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料(40歳以上の場合)などがあります。
それぞれの保険料は、標準報酬月額に保険料率を乗じて計算されます。
保険料率は、加入している健康保険組合や年齢によって異なります。
労使折半なので、従業員が負担するのはその半額です。
標準報酬月額が上がると、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料(該当する場合)が増加します。
増加額は、標準報酬月額の増加分と保険料率によって異なります。
具体的な増加額は、それぞれの保険料の算出式を用いて計算する必要があります。
残業が増えると、所得税と住民税、そして翌年の社会保険料が増加します。
4月~6月の残業は特に翌年の社会保険料に影響が大きいため注意が必要です。
残業代の計算方法、所得税・住民税・社会保険料の算出方法を理解し、自身の状況に応じた試算を行うことで、残業による税金・社会保険料の増加額を把握できます。
これにより、より精度の高い家計管理が可能になります。
残業による収入増加と、税金・社会保険料増加のバランスを考慮し、適切な働き方を検討することが重要です。