コラム
アルバイトを雇用する際に、労働基準法に関する知識は不可欠です。
特に、従業員の休業に関する規定は、事業主にとって重要なポイントとなります。
会社都合でアルバイトを休ませる場合、休業手当の支払い義務が発生する可能性があり、その適用範囲や計算方法を正しく理解していないと、法的なリスクを負うことになります。
今回は、労働基準法第26条に焦点を当て、アルバイトへの適用について解説します。
具体的な計算例なども示しながら、アルバイト雇用における法的リスクの軽減に役立つ情報を提供します。
労働基準法は、正社員だけでなく、アルバイトやパートなどの非正規雇用者にも適用されます。
アルバイトだからといって、労働基準法の規定が適用されないということはありません。
労働時間、休憩時間、賃金、有給休暇など、労働条件に関する多くの規定が、アルバイトにも同様に適用されます。
ただし、有給休暇の取得条件や日数については、正社員とは異なる場合があります。
アルバイトの労働条件は、労働基準法に則って設定する必要があります。
具体的には、労働時間、休憩時間、賃金、休日、有給休暇、解雇など、様々な事項について、法令に違反しないよう注意しなければなりません。
労働時間については、1日8時間、週40時間を原則として超えて労働させてはならず、それを超える場合は、時間外労働の割増賃金を支払う必要があります。
また、アルバイトであっても、6ヶ月以上継続勤務し、一定の出勤率を満たせば有給休暇を取得できます。
アルバイト雇用に関する労働基準法では、いくつかの誤解や注意すべき点があります。
例えば、アルバイトには有給休暇がない、時間外労働の割増賃金を支払わなくても良い、といった誤解はよくあることです。
これらの誤解は、労働基準法違反につながる可能性があり、事業主は十分に注意する必要があります。
また、アルバイトの掛け持ち勤務についても、労働時間の管理に注意が必要です。
複数の事業所で働くアルバイトの労働時間を合計し、法定労働時間を超えていないかを確認する必要があります。
労働基準法第26条は、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合、使用者は休業期間中当該労働者に平均賃金の60%以上の手当を支払わなければならないと定めています。
これは、会社都合でアルバイトを休ませる場合にも適用されます。
会社都合の休業とは、経営上の理由、災害、機械故障など、会社側の事情によって従業員を休ませざるを得ない状況を指します。
休業手当は、アルバイトを含む全ての労働者に対して適用されます。
正社員とアルバイトで休業手当の支給に差をつけることは、不合理な待遇差として違法となる可能性があります。
ただし、アルバイトの場合、平均賃金の算出方法が正社員と異なる場合があるため、注意が必要です。
休業手当の計算は、直近3ヶ月間の平均賃金を算出し、その60%以上に休業日数を乗じて算出します。
平均賃金の算出には、賃金の種類や締め日、休業期間中の他の休暇との重複など、様々な要素が考慮されます。
例えば、時給制のアルバイトの場合、直近3ヶ月の総賃金を総労働日数で割った金額の60%が最低限の休業手当となります。
仮に、平均時給1000円、1日8時間勤務、休業日数5日の場合、休業手当は最低でも24000円(1000円×8時間×5日×60%)となります。
休業手当と休業補償は、どちらも労働者が労働できない期間に支給されるお金ですが、その根拠や支給条件が異なります。
休業手当は、会社都合による休業の場合に会社が支払うもので、労働基準法第26条に基づきます。
一方、休業補償は、労働災害などによる休業の場合に、労災保険から支給されるものです。
休業手当に関するトラブルは、平均賃金の算出方法や会社都合の休業に該当するかの判断をめぐって発生することがあります。
トラブルを避けるためには、就業規則で休業手当に関する規定を明確に定め、アルバイトとの間で労働条件を事前にしっかり確認しておくことが重要です。
また、休業手当の計算方法についても、明確な基準を設けておくことが大切です。
本記事では、労働基準法第26条に基づく休業手当について、特にアルバイトへの適用について解説しました。
会社都合による休業の場合、アルバイトにも平均賃金の60%以上の手当を支払う義務があります。
平均賃金の算出方法や休業手当の計算方法、休業補償との違いなどを理解し、適切な対応を行うことが、法的なリスクを軽減し、良好な雇用関係を維持するために重要です。
アルバイト雇用において、労働基準法を遵守することは、事業主としての責任であり、従業員の権利保護にもつながります。