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出向に伴う社会保険のルールとは?確認すべき社会保険のポイント

近年、企業間での人材交流として出向制度が活用されています。

しかし、出向社員の社会保険の負担や適用事業所の決定については、複雑なルールがあり、人事担当者にとって頭を悩ませる問題の一つです。

今回は、出向元企業と出向先企業、それぞれの立場から社会保険負担について解説し、社会保険の種類ごとの適用ルール、よくある疑問点、注意点などを網羅的に説明します。

スムーズな人事異動と雇用管理のため、ぜひご一読ください。

出向社員の社会保険負担

社会保険の種類別適用ルール

・健康保険・厚生年金保険:給与の支払い窓口が適用事業所を決定します。

・雇用保険:主に給与を支払う側が適用事業所となります。

給与を分担する場合は、より多くを負担している側が適用事業所となります。

・労災保険:労務提供先(出向先)が適用事業所となります。

給与の支払い窓口は関係ありません。

よくある疑問点と注意点

給与負担と社会保険の適用事業所は必ずしも一致しません。

給与の支払い窓口、雇用関係、労務提供先などを明確に確認し、それぞれの社会保険の適用ルールを理解することが重要です。

異なる健保組合に加入している場合、保険料率が変わる可能性があるため、事前に確認が必要です。

また、出向契約において、社会保険の負担割合や適用事業所について明確な取り決めを行うことが、トラブル防止につながります。

適用事業所の決定と出向の種類

給与支払い窓口と適用事業所

社会保険の適用事業所は、原則として給与の支払い窓口によって決定されます。

給与の全額または大部分を出向元企業が支払う場合は、出向元企業が適用事業所となります。

逆に、出向先企業が支払う場合は、出向先企業が適用事業所となります。

給与の負担割合が明確であれば、適用事業所も明確になります。

しかし、雇用保険は、給与の負担割合ではなく、主に給与を支払う事業所が適用事業所となります。

在籍出向と転籍出向の違い

在籍出向は、出向元企業に雇用関係を維持したまま出向先企業で勤務する形態です。

一方、転籍出向は、出向元企業との雇用契約を終了し、出向先企業と新たな雇用契約を締結する形態です。

この違いは、社会保険・労働保険の適用に大きく影響します。

在籍出向では、社会保険の適用事業所は給与の支払い窓口によって決定されますが、転籍出向では、出向先企業が適用事業所となります。

社会保険・労働保険の扱い

在籍出向の場合、社会保険の適用は給与支払い窓口によって決定されますが、雇用保険は主に給与を支払う事業所、労災保険は労務提供事業所が適用事業所となります。

転籍出向の場合は、出向先企業が社会保険・労働保険の適用事業所となります。

適用事業所が明確になれば、それぞれの保険料負担も明確になります。

出向契約における注意点

出向契約書には、給与の支払い窓口、社会保険・労働保険の適用事業所、負担割合などを明確に記載することが重要です。

また、出向期間、職務内容、労働条件なども詳細に記述し、トラブルを未然に防ぐ必要があります。

特に、在籍出向の場合は、出向元企業と出向先企業の両方との雇用関係を明確にすることが重要です。

まとめ

出向社員の社会保険負担は、給与の支払い窓口が大きく影響します。

健康保険・厚生年金保険は支払い窓口、雇用保険は主に給与を支払う事業所、労災保険は労務提供事業所が適用事業所となります。

在籍出向と転籍出向では、社会保険・労働保険の扱いが異なるため、出向契約書には、給与支払い窓口、適用事業所、負担割合などを明確に記載する必要があります。

出向元・出向先企業は、それぞれの責任と負担を明確に理解し、出向社員への適切な対応を行うことが重要です。

出向契約締結前には、社会保険労務士などの専門家に相談することをお勧めします。

これにより、人事異動に伴うトラブルを回避し、円滑な業務遂行に繋げることが期待できます。