コラム
出向を命じられたとき、多くの人が最初に気になるのが「給料はどっちから出るのか」という点ではないでしょうか。
出向にはいくつかの形態があり、その仕組みによって給与の支払い元や金額が変わることがあります。
また、社会保険や税金の処理にも違いが生じる場合があります。
ここでは、出向時の給与の支払い構造と、確認しておきたい実務的なポイントを整理してご紹介します。
出向には主に2つの形態があります。
在籍出向は、出向元の企業に籍を残したまま、一定期間出向先で働く形です。
出向先の業務を行いながらも、雇用契約上の所属は出向元にあります。
一方で移籍出向は、出向先に完全に転籍する形で、出向元との雇用関係は終了します。
つまり「一時的な派遣」に近い在籍出向と、「転職に近い移籍出向」と考えると分かりやすいでしょう。
在籍出向の場合、給与の支払いは出向元の企業が行うケースが一般的です。
出向先から出向元に対して、給与や人件費の一部が「出向料」として支払われることもあります。
出向元が給与を支払うため、源泉徴収や社会保険の加入先も出向元になります。
ただし、出向先での勤務条件に応じて「出向手当」が追加されることもあり、給与額が若干変動する場合もあります。
移籍出向では、雇用契約が出向先の企業に移るため、給与も出向先から支払われます。
この場合、給与体系や昇給・賞与なども出向先の規定に従うことになります。
また、社会保険・労働保険・源泉徴収などの管理も出向先が行うため、勤務条件や福利厚生の変更を十分に確認することが大切です。
在籍出向では、出向元の保険制度がそのまま継続されるため、健康保険証も変更されません。
一方、移籍出向になると、社会保険や年金の加入先が出向先に変わります。
また、年末調整や住民税の処理も、給与を支払う企業が行うため、出向形態によって税務上の取り扱いが異なります。
こうした違いを理解しておくことで、出向後の手続きもスムーズに進められます。

出向によって給与が変動することはあります。
特に出向先の給与水準が低い場合や、役職・職務内容が変わる場合には、給与が減るケースもあります。
ただし、在籍出向であれば、基本的には出向元の給与体系をベースに調整されることが多く、急激な減額は避けられる傾向にあります。
出向に伴い、勤務地が変わる場合には「出向手当」や「住宅補助」「単身赴任手当」などが支給されるケースがあります。
これらは企業によって内容や支給条件が異なるため、出向命令を受けた際には必ず人事担当者に確認しましょう。
特に長期の出向では、手当の有無が実質的な手取り額に大きく影響します。
出向が決まった際は、給与や保険、福利厚生の変更点について不明点をそのままにせず、人事担当者に早めに確認することが重要です。
給与支払いの流れや税金処理を正しく理解しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
また、契約書や通知書に明記されていない点があれば、書面での確認を依頼するのも安心です。
出向時の給与の支払い元は、「在籍出向」か「移籍出向」かによって異なります。
在籍出向では出向元、移籍出向では出向先が給与を支払うのが一般的です。
また、給与の支払元によって、社会保険や税金の取り扱いも変わるため、事前に確認しておくことが大切です。
出向による給与の変動や手当の有無を把握し、納得できる条件で働けるよう準備を整えましょう。
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